2020年10月5日

天寧寺:五百羅漢に三方向から睨まれる荘厳な空間

 天寧寺:五百羅漢に三方から睨まれる荘厳な空間



「天寧寺」は滋賀県彦根市にある曹洞宗の寺院です。

この寺院には有名な「五百羅漢堂」があります。

2017年公開の映画「関ケ原」の最初のシーンで、麦わら帽子の少年が、老人の話に聞き入っています。その少年は後に多くの歴史小説を著した司馬遼太郎のようです。次のシーンで、同じ場所で子供時代のの石田三成が豊臣秀吉に茶を差出す有名なエピソードが続きます。この2つの場面が展開する寺の内部は、壁面がすべて五百羅漢に埋め尽くされています。

この映画のロケに使われた印象的な五百羅漢の寺院はどこなのか。実は石田三成がいた佐和山城のすぐ近くにあるこの天寧寺だったのです。佐和山城と天寧寺の位置関係に強いつながりを感じたのですが、残念なことに、映画のシーンに使われたという以上のつながりはありませんでした。

この寺の建立は比較的新しく、1811年、五百羅漢堂の完成は1828年でした。この天寧寺は、彦根城下にあった「宗徳寺」がこの移転されたときに改名し現在の名前になりました。建立した藩主は11代、井伊直中(なおなか)で、井伊直弼の父親でした。



五百羅漢堂


この寺堂には本尊の仏像も正面に安置されていますが、周囲の壁すべてを占める五百体の羅漢は珍しいと思います。

三方向から強い視線を送ってくる五百羅漢とはどういう人達なのでしょうか。

五百羅漢という人達は、釈迦の死後、仏教をより発展させようと開かれた集会で、集会場となった洞窟に入った500人のことを指すようです。ですから羅漢というのは、釈迦の直弟子、宗教セクトの重要人物達ととらえればいいのではないでしょうか。

「禅宗」が勢いを増した「鎌倉時代」ごろに、中国から日本に「羅漢」を彫像として並べ、敬うという習慣が輸入されたようです。




実際に500体の「五百羅漢」を祭るのは、労力的にも、資金的にも大変なことだったと思います。この寺の五百羅漢は、1831年に5年の歳月を費やして京都の仏像彫刻師の手で彫られました。この五百羅漢堂には、500体の羅漢と、その上位の弟子達、合わせて527体の仏像が並んでいます。その荘厳な空間は見たことのない神秘さを湛えています。


施設の情報

天寧寺

拝観料 400円
拝観時間 9:00~17:00




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